(労災保険法)男女差別?遺族補償年金の受給権者について
業務災害で労働者が亡くなった場合、労災保険より遺族に対して補償がなされます。
その一つが「遺族補償年金」です。
遺族補償年金は、被災労働者の遺族の数に応じて、その労働者の平均賃金の153日分~245日分の金額を年金として受け取ることができる制度です。
受給権者は、「労働者の配偶者、子、父母、孫、祖父母及び兄弟姉妹であつて、労働者の死亡の当時その収入によつて生計を維持していたもの」です。(労働者災害補償保険法第16条の2)。
ただし、「妻」以外の者については条件付きです。
子・孫 →18歳(の年度)未満または一定の障害
夫・父母・祖父母 →55歳以上又は一定の障害
です。
ここで問題なのは、
「夫を亡くした妻」は「無条件」
「妻を亡くした夫」は「条件付き」
であるということです。
つまり、遺族が男性か女性かで、年金が受け取れるかどうかが変わるのです。
個人的にはこれは男女差別では??と考えてしまいます。
遺族補償年金の趣旨は、亡くなった労働者の遺族の生活を保護することです。
だから、「女性は旦那に死なれたら生活できないけど、男性は奥さんに死なれても生活できるでしょ」といった考え方でしょうか。
統計的にも女性は男性に比べて確かに厳しい現状はあります。
とはいえ家庭での役割は多様化している中で、全体的に「こういう傾向がある」というだけでこのような制度にするのは果たして正しいのか、考えなければならないと思います。
ちなみに、遺族補償年金が受け取れなかった遺族には遺族補償一時金という別の給付を受けられる可能性があります。
また、厚生年金の給付である遺族厚生年金にも類似の受給要件があります。